「ヘリ無し畳」作り方 畳屋さんからの質問集と解決策① 「寸取りについて」畳屋さん向け

よく畳屋さんからヘリ無し畳の製作について質問をいただきます。
「寸法通りに作るにはどうするの?」
「畳表が変色するんだけど、どうしたらよいの?」
「曲げるとイ草が割れるんだけど、、、」
「ふくれるんだけど、、、」
などなど。

それだけヘリ無し畳の製作に悩んでいる畳屋さんが多いんですね。

現在の「ヘリ無し畳」が世間に広まったのは、ここ10数年くらい前からでしょうか。

当時の僕は「ヘリ無し畳の作り方」などまったく知らず、聞ける畳屋さんも皆無。
手探り状態で年間200~現在では300~400枚ほどを「作る」→「改善」→「作る」→「改善」と繰り返してきました。

数をこなし、改善を行うことで見えてきた問題点を一つずつ洗い出し、研究を重ねてきました。
得た知識を周りの畳屋さんに教えることで見えてくる課題も多くあり、それもまた勉強になりました。

現在も畳屋さんは、独自の技術と方法で「ヘリ無し畳」を作られてきたかと思いますが、「ヘリ無し畳」製作時にそれなりに問題も出てくるかと思います。

また近年の新築や一般家庭など、「ヘリ無し畳」が多数採用されている現状を踏まえますと、この先「ヘリ無し畳」の表替え、新調の需要はますます増えるものと考えてます。

今日までは1件1件畳屋さんから「ヘリ無し畳」の質問を受ける度に、その原因と解決策をご提案してきましたが(近場であれば仕事場に直接伺って実践してきました)、それにも時間的な限界があるなぁということで、こちらに書くことにしました。

各畳屋さんによって、作り方も多少の違いがあるとは思いますが、良ければ参考にしてください。

では本題。「ヘリ無し畳の寸法取りについて」です。

こちらは実は簡単。
現在の寸取りとあまり変わりません。
ですが、小間中も測ってくださいね。

半間(2尺9寸)間隔ではなく、約1尺5寸間隔で。

畳屋さんはもちろんおわかりですが、半間の間にも意外とゆがみがあります。
「ヘリ無し畳」を作って敷きこむ際、このゆがみがネックになります。
「四つ角が合わない」
「寸法は合っているのに、敷きこむとふくれる」といった
原因の一つになります。

少しのゆがみの見落としが、このズレを生み出します。
表替え依頼のため、引き上げたヘリ無し畳 ズレてますね
こちらの写真のヘリ無し畳は寸法にも問題がありましたが、
寸法取りで手間を惜しむと、せっかく作った畳も残念な結果になりかねません。

そして、巡り巡って表替えの際に次に畳屋さんが施工する際、非常に手間がかかってしまいます。
ズレがひどいヘリ無し畳を綺麗に手直しするのは本当に大変ですよね。
この手間を可能な限り省くためにも、しっかりとした技術で施工したいものです。
直すのにかなりの時間を費やしました
現在、様々な理由で「ヘリ無し畳はあんまり作りたくないなぁ」という畳屋さんがおられることも重々承知しています。

ですが、、、
「作らなくても良いです!」
「綺麗に作れる方法だけ知っていて欲しいです!」

お客さんが「ヘリ無し畳にしたい!」と言われた時に、その想いを是非形にして欲しいのです。「ヘリ無し畳」を綺麗に和室に敷き込めるのは、畳屋さんだけなんです。

このブログでは、数回にわたって「ヘリ無し畳の作り方」「技術的なポイント」について書いていきます。

畳屋さんのお力になれると幸いです。

質問などがございましたら、tokuchiyo@gmail.comまでメールしてください。

徳千代畳店 中井